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資源・エネルギー工学工学

資源・エネルギー工学

資源・エネルギー工学で学ぶこと

わたしたち人間は、鉄、アルミニウム、スズ、鉛といった鉱物を道具や建築物の材料として活用したり、石炭、石油といった化石燃料をエネルギーとして活用するなど、地球のあらゆる資源を利用して今日の社会を築き上げてきました。資源・エネルギー工学とは、こうした資源とエネルギーについて研究する学問です。

従来は地中にある資源の研究が主でしたが、急激なエネルギー使用量の増加によって石油資源の枯渇が心配されるようになり、同時に石油を燃焼することで発生する二酸化炭素による地球温暖化の問題もあって、石油に変わる新エネルギーの開発がこの領域の大きなテーマとなっています。

研究の内容としては、たとえば石油や天然ガス、近年注目されている地熱やメタンハイドレートの探索と活用法の研究や、その資源を循環して利用する方法の開発などがあります。さらに、太陽光発電や燃料電池など、地中に埋蔵された資源を用いないエネルギーの開発が注目されています。

太陽エネルギーについては、太陽光は、無尽蔵に地球にふりそそいでいるとはいえ、エネルギー変換効率や、発電装置のコストが問題で、効率向上、コスト低減に向けての研究が行われています。中には、太陽光発電を、太陽光の強さが昼夜や気象によって左右される地上ではなく、宇宙空間で行おうという計画もあります。自然エネルギー活用としてはほかに、風力や地熱、海の潮の満ち引きや海流などのエネルギーを活用する技術も研究されています。

燃料電池は、海中に大量にある水素を酸素と化学反応させ、水ができるときに放出されるエネルギーを利用しようというもので、クリーンなエネルギーであり、車などに搭載可能なエネルギーとして注目されています。ほかに、体内で石油成分を作る微生物の研究などもあり、従来の資源・エネルギー工学の枠を超えた、学際的な研究が進んでいます。新エネルギー開発のほか、ゴミ焼却時に出る熱のような無駄になっているエネルギー(都市廃熱)の利用や、発電所から、工場や家庭など電気を使う場所への効率よい電気の輸送システムの開発、電気をいかに蓄えておくかといった蓄電の研究もこの学問の領域です。

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震にともなう福島第一原発の事故以来、原子力発電に代わるエネルギーの開発が急務となっているのは周知の通りです。また、中国、インド、ブラジルといった経済発展の著しい国での電力需要の増大もあって、人類が必要とするエネルギーはますます増加しています。資源・エネルギー工学を含め、さまざまな科学技術の成果を結集しての、安全で豊かなエネルギーの開発が望まれています。

エネルギー以外の資源に目を向けると、最近のトピックスに、レアアース(希土類元素)があります。レアアースは、光ディスクや光磁気ディスク、LEDなどに使われる材料で、今日の情報社会を支える道具に欠かせない材料です。ところがレアアースは中国の内モンゴルに偏在しているため、中国が輸出を止めてしまうと、世界経済に大きな影響を及ぼします。そこで中国のみに頼らないレアアースの入手法や代替素材の開発、レアアースのリサイクル法などの研究が行われています。

学部・学科選びのヒント

「エネルギー」「資源」の名称のつく学科のほか、「地球工学」「地球資源」など“地球の資源を活用する”というニュアンスの名称をもつ学科で学ぶことができます。

またエネルギー問題は環境問題と密接に関わっていますから、環境工学関係の学部や学科、自動車にも搭載可能な燃料電池は自動車工学が学べる学科、地熱エネルギーは地球惑星科学関係の学科、海底資源の探査や活用については海洋工学関係の学科という具合に、関連する学科で学ぶことができます。

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