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核融合・原子力工学工学

核融合・原子力工学

核融合・原子力工学で学ぶこと

核融合・原子力工学とは、原子の力を利用したエネルギー発生システムと、そのための装置(炉)について研究する学問です。地球温暖化(気候変動)の深刻化にともなう「2050年カーボンニュートラル」の実現や、エネルギーの安定確保が世界的な課題となるなか、化石燃料に代わるクリーンで強力な次世代エネルギーのあり方を追究する学問として重要性が高まっています。

そのひとつが核融合によるエネルギーと、すでに原子力発電として実用化されている核分裂によるエネルギーの利用です。核融合が水素という軽い元素の核を融合させ、ヘリウムと中性子になるときに出るエネルギーを利用するのに対し、核分裂では逆に、ウランやプルトニウムという重い元素の核を分裂させて、そのときに出るエネルギーを利用します。太陽をはじめとする恒星の莫大なエネルギーは、核融合によって生まれています。核融合炉は、いわば地球上に小さな太陽をつくろうとするもので、現在日本を含む国際協力による実験炉(ITER)のプロジェクトが進んでいるほか、近年では民間企業やスタートアップによる実用化に向けた投資や開発競争が世界規模で激化しています。核融合によるエネルギー生産が実現すれば、原料となる水素は海中に無尽蔵にあることなどから、人類のエネルギー問題を根本から解決するものとして期待されています。しかし実現には数々の高いハードルをクリアしなければなりません。

まず核融合反応を起すには、原料となる水素原子を1億度以上の超高温で閉じこめなければなりません。1億度のものに直接触れて閉じこめておける材料はないため、どうやって制御するかが大きな研究課題となっています。現在主に、強力な磁場でかごを作って閉じこめる方法(磁場閉じこめ)と、四方八方からレーザーを照射して瞬間的に核融合反応を引き起こす方法(慣性閉じこめ)の研究が飛躍的に進歩しています。ほかに、核融合によって生まれた中性子が炉の材料を放射化してしまうのを防ぐ先進材料の開発、巨大な磁場を作るための超大型超電導マグネットの開発など、最先端の工学的テーマが数多く存在します。

一方、核分裂を利用した原子力発電がすでに実用化されているのはご存知の通りです。ウランやプルトニウムの原子核に中性子を衝突させると、その中性子が吸収されることで原子核が分裂し、その際に激しいエネルギーと新たな中性子を放出します。これが原子力エネルギーです。この際、人を含む生物に被害を与える放射線を発するため、放射線をいかに厳密に制御し管理するかが、人為的なミスの防止も含めての最重要課題です。

放射線の危険性については、2011年の東日本大震災にともなう福島第一原子力発電所の深刻な事故によって現実の脅威となり、今なお多くの課題を残しています。事故をきっかけに原子力発電の是非や安全性については改めて世界中で議論されてきました。近年では、脱炭素社会の実現やエネルギー危機の克服に向けて、原子力発電の持つ「CO2を出さない安定電源」としての役割が再評価される動きがある一方で、より安全性を極限まで高めた「次世代革新炉(小型モジュール炉:SMRなど)」の開発といったパラダイムシフトが起きています。いずれにせよ、原子力に関する研究の重要性が減ることはありません。安全運用のための技術革新はもちろん、飛散した放射線の人体や環境への長期的影響の解明、最先端ロボット技術などを投入した廃炉プロセスの完遂、そして高レベル放射性廃棄物の最終処分法の確立など、解決すべき未踏の課題に挑む必要があります。

そして、放射線は危険な側面だけでなく、がんの治療や最新の画像診断などの医療現場、宇宙空間や極限環境で使う材料の解析、農作物の品種改良にと、科学技術のさまざまな場面で不可欠なものとして活用されています。このように、エネルギーの選択にかかわらず、原子の力を安全にコントロールし、人類の未来に役立てる核融合・原子力工学は、極めて大きな社会的責任と可能性を持つ重要な学問分野であることに変わりはありません。

学部・学科選びのヒント

核融合・原子力工学は、大学では理学部物理学科や工学部に進み、大学院になってから専門的に学ぶことになりますが、学部から学びたい場合は、工学系の学部、学科の中で「量子」「エネルギー」「原子核」「原子力」といった名称のつくコースを調べてみましょう。

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